雪の中、別府に帰った。
真央の体温があたたかかった。
ここはやっぱりゆっくり時が流れる。
温泉みたい。
色んなことから解放されて、あたたかいものや人がたくさんある気がした。
「この前も聞いた」とか言いながら、母とたわいもない普段の出来事を時間忘れて話したり、
今日は祖父母と雛人形を台から組み立て、午後からは飾りつけをしたりした。
雛人形飾りはふたつ。
ひとつは私の。
もうひとつは母の。
26年前と51年前の品。
それを今年真央に渡す。
渡すと言うか、私たちの為でなく真央のために飾った。
「新しいの買おうか?」
とも言われた。
でもたくさんの人の想いや手がかかった歴史ある品々は、だからこそ大切にしたいし受け継ぎたいと思うものだ。
私のは私の祖父母から。
そして母のはその祖父母。
母の雛人形飾りは、珍しく立派なお社が付いている。でもそれは私が会ったことない曾祖父母が貧しいながらに一生懸命お金を出し合いながら買ったとも聞いた。
初めは社と数体の人形しか買えなかった。でも毎年少しずつ人形や小物を増やした。
だから少しずつ顔付きや作りが違うものもある。
台や一部の小物は私の大好きだった祖父が手作りした。
説明書なんてない。あるのは組み立てるために丁寧に書かれた、対になった祖父の字の墨の数字。そして留め具も手作りだったりする。
だからこそより美しく、より思いが深くなる。
それを知ってるからこそ、私のだけでなく母のも大切にしたい。そしてそれを真央にいつか伝えたいと思う。
また私の飾りにも毎年姉妹3人や家族みんなで飾って囲んで食事と笑顔でいっぱいの記憶があるから。
次はまた真央の思い出と記憶に少しずつ大事が増えていったらいい。
疲れたとき、何も考えたくなくなったとき、
今回は改めて真央の存在と何気ない家族のやりとりが支えになった。
本当に感謝した。
真央は先週初めて自分の力で一歩を踏みしめた。
そして昨日は3歩。今日は5歩。
私や父母に最後倒れ込んで嬉しそうに「キャー」って高い声を出す。
みんなが喜ぶのが嬉しい。
そして得意気に自分にパチパチ手を叩く。
今本当に可愛くて仕方ない。

写真は雛人形飾りの段を登るのが楽しくて、危険を省みずどんどん登っていく真央。